AgainST Gallery(アゲンスタジオ・ギャラリー)では、2025年3月9日(日)から2025年3月30日(日)まで、DAISY BALLOON「CALL」展を開催します。
本展では、表層がひび割れたバルーン (*1) の写真作品とそれらを収めた本を展示します。作品は現物のバルーンチップ (*2) とそれらを拡大して撮影した写真群、及び、ホイッスル (*3) によって構成されています。
「CALL」は、過去に起こった、あるいは未来に起こるであろう出来事だけではなく、その時に直面する生命が発する感情をも浮かび上がらせようと試みた作品です。断裂した大地や未開拓な惑星の表面を想起させるバルーンの表面をマクロ的 / ミクロ的な視点で、過去 / 現在 / 未来へと思考を往来させると、その中には声にならない音が潜んでいます。言語化されずに彷徨う音は、わたしたちの内面で抱える課題に反響し、シグナルとなって個々で異なる呼応を生み出していくでしょう。
(*1) バルーンの表面に塗料を塗布し膨張させたバルーン
(*2) *1のバルーンを断裁した現物のバルーン
(*3) 一部の作品に内蔵されている、取り出し可能なバルーンチップとオリジナルで制作したホイッスルのユニット
[Artist Statement]
私たちは公園で傷を負った少女と出会い、小さな救急セットでできる限りの応急処置を行ないました。その間、少女は私たちの問いかけには応答せず、言葉にならない唸りのような声を発して震えていました。不完全な応急処置であった為、少女の不安を取り除いてあげられなかったことに私たちは酷く落ち込んでしまいました。
その日から、私たちの記憶には、その出来事が深く刻み込まれています。少女との記憶は様々な形に変貌し、新しい世界を生み出しながら漂流し続けてきました。それから、私たちは記憶の中の少女とコミュニケーションを図るため、声よりも遥かに音が届くホイッスルを手にしました。少女の言語化できない声を受け取れるように。
私たちは離れたところからホイッスルを鳴らしながら少女が生み出す軌跡に近づき探索してきましたが、ある時、記憶の中で変貌し続ける世界の形そのものが少女のシグナルであることを発見しました。
記憶というものは、過去に体験した断片的な粒子が集合しあい、様々な形として漂流し、少しずつ浸食し消えていくものもあれば、時には繋がり合わさり壮大な形へと変容していくものもあるかもしれません。
DAISY BALLOON「CALL」展
主催|アゲンスタジオ・ギャラリー
企画構成|ヒッツファミリー
写真|小川真輝
音楽|平井真美子
音響|Flysound Co.
ホイッスル・額装設計|LUKA YASUKAWA DESIGN
額装制作|株式会社五反田製作所
制作協力|紙谷刷太郎、株式会社加藤文明社、株式会社ライブアートブックス
DAISY BALLOON「CALL」本
2025年3月9日 初版第一刷
著者|デイジーバルーン
構成|ヒッツファミリー
写真|小川真輝
翻訳|浜田さおり
デザイン|河田孝志
ホイッスル・額装設計|LUKA YASUKAWA DESIGN
ペーパー|紙谷刷太郎
印刷・製本|株式会社ライブアートブックス
発行|アゲンスタジオ・ギャラリー
〒214-0036 神奈川県川崎市多摩区南生田6-38-10